SSブログ

第9回福井読書会(H27/3/25) [読書会]

平成27年3月25日(水) 7:00から
ラササヤンにて開催。

課題図書は、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」。

重厚なカワイ氏の宣言で幕は開く。「この本を選んだのは‥」
本の選定を頼まれて単純に好きだったから選んだが、今回、会の開催にあわせて久々に読んでやっぱり泣けた。好きな本を皆さんがどうさばくのか大変興味があります。


過去に本を読んだノサカ氏から感想を述べよ、と主は言う。「あれは二十歳の事でした‥」
児童文学と意識して読んだ記憶がある。擬態語、擬音語が頭に直接飛び込んできた。リズム感がすばらしく一人で朗読をしたこともある。音の感覚や情景、特に金剛石や水晶の描写がすばらしい。
声に出して読みたい絵本のような文章だと思う。声に出すと読書はみんなの共有になる、という言葉を思い出す。


次はヤスギ氏の番だった。「じっくり読んだのは初めてかもしれません‥」
「銀河鉄道の夜」は研究されて尽くされた感のある小説と聞いており、今回は読んだ感想だけを述べようと思っていた。作者が何度も手を入れていて、4つの版で文章が違うようだが、まだ読んでいない版も読んでみたいと強く思った。


クロダ氏が語りだす。「今まで私がしてきた会話の中で何億語を使ったかは分からないが‥」会話が唐突な感じがして、描写が思いつかない部分がある。宮沢賢治の見ていた風景を自分も見てみたいと感じる。何者にも捕らわれていない文章がとてもよい。博士が出てくる版の方が好き。「鉄道に乗る」の意味をどうとらえるかで、分かれる部分。


そして、会話は再びカワイ氏に戻る。「子供の時にこの本を読んだきっかけは‥」
実は、『銀河鉄道999』が好きだったので読んだ。似てたような似てないような。
宮沢賢治が自分が感じたまま見たままを素直に書いたものが、燈台守の言葉「なにがしあわせかわからないです。」に集約されているように感じる。想像だけでなく「見えて」いたように感じる。
悪い人として書かれているザネリを助けてカムパネルラが溺れるのは聖者の行いであり、象徴として書かれているようだ。
生者の中にありながら幽霊のような存在として過ごしているジョバンニが、死者の列車に乗ることで成長する物語ととらえた。



そして、一人ひとりの告白が始まる。
「私はこう思うのです‥」
カムパネルラを独り占めしようとするジョバンニ。
カムパネルラがジョバンニのことを好きすぎてジョバンニの夢に出たとすると、源氏物語を思わせる描写にも感じる。
もっと清い二人は天より先に行ったが、輪廻転生をにおわせる書き方も。
「ジョバンニのお父さんが帰ってくる」ことは、キリスト教にあるキリスト再臨にかかってもいる。お父さんが嘘の罪を着せさせられる、海獺の皮などもキリスト教をモチーフにかかれたように思う。
などなど、内容の濃い意見交換となりました。

「すべてが自分の思い通りにはいかない」ことを知る成長の物語かな?
もしくはBL?


ホンヲシル
・ノサカさんからの紹介
三浦しをん「格闘する者に○(まる)」新潮文庫
 笑いがおもしろい。パロディーを求めない、読ませるタイプのコメディ。

・ヤスギの今読んでいる本
京極夏彦「後巷説百物語」角川文庫
とりあえずおもしろい。百物語のシリーズでは3冊目となるが、文体、書き方、構成すべてが本好きにはたまらない。

・クロダさんからのおすすめ
サン=テグジュベリ「星の王子さま」新潮文庫
「銀河鉄道の夜」からのチョイス。宗教とメディアの話につながる作品。
作者が敬虔なクリスチャンであることから、聖書との類似点も魅力。


・カワイさんからの今日の一品
村上龍「イン ザ・ミソスープ」読売新聞社
「ケンジ」つながりの一冊。
日本の道理が通じない外国人が現れたときに、日本人はどう対処するか、を書きたかったのではないかと思わずにはいられない一冊。主人公のケンジが地獄の三日間を通して成長するのが、「銀河鉄道の夜」に通じる?
ちょっとグロい描写が難点なれど、自分の糧になった一冊。

好評のうちに幕を閉じた9回目。
そして次回、読書回第10回記念大会!
課題図書は、綿矢りさ「蹴りたい背中」!
平成27年5月27日(水)!
括目して待て!!
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。