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R1.11/25 第37回福井読書感想交換会レポート(宮口幸治著「ケーキの切れない非行少年たち」) [読書感想交換会]

KIMG0003.jpg 「星を読む会」主催、第37回福井読書感想交換会が令和元年11月25日(水)午後7時から、福井県立美術館横「美術館喫茶室ニホ」で行われました。
 課題図書は、宮口幸治著「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)。
 会では初めての「実用書」。以前、「もし高校野球の女子マネージャーが…」通称もしドラで読書会を開きましたが、完全実用書は初。
 さて、会員の皆様はどのように読まれたのでしょうか。

 定刻過ぎに始まり、まずは15分で振り返りを行い、本書の中で気になった点を抜粋。昨今の報道や身の回りのできごとにからめながら、感想を述べる準備をしていただきました。
 それぞれの発表に3分、質疑応答に3分の時間を設けています。

会員 1
 この本を読んで、NHKの番組「ねほりんぱほりん」が浮かんだ。その番組で紹介された人々がこの本に出てくる人々と似ている。
 本人たちはやる気があっても能力的にできないことがありそこで挫折感を味わう、と番組内でも言っていた。それを思い浮かべながら、この本を読み進めた。
 本中の実例では、発達障害や知的障害を持った子供達が「鬼ごっこ」において被害妄想に近い感情を持つ場面の描写がすごく気になった。

会員 2
 久しぶりに新書を読んだ。自分が持つ新書のイメージよりは柔らかく、読みやすかった。反面、少し物足りない感じがする。
 教会に通っているが、そこに通う人々を思い出した。中には「発達障害」の病名を持つ人もいる。その方々に接するときに本書のようにできるかというと、できないだろうなぁと思う。本書の実例では「感情のペットボトル」社会面トレーニングに興味をひかれた。
 自分が若い頃、少年法が話題になっていて、当時から「矯正より懲罰意識が強い感情の生き物」という考えもあったが、先々のことを考えると矯正する方法も模索しなければいけないと思う。

会員 3
 発達障害については在職中に本を読んでいたが、接する機会が少なかった。今回本書でよく分かった。
 酒鬼薔薇聖斗の事件や、人を殺してみたかったという事件を思い出した。
 私のような普通の人間から見ると、異常な状態だと思う。
 対処の方法が後半書いてあるが、もう少しページ数を増やしてもよいかと思う。本書を手に取る様な人は答えにたどり着きたい人が多いと思う。
 医療・教育の分野を分けるよりはその中間分野を設けた方がよい。
 子育てを家族に任せていたので、反省がある。

会員 4
 本書を読んで、登場する人たちが大人になったときに営利企業で働けるのか、という点を考えながら読んだ。本文中の入所者を納税者に変えるという点が気になった。
 生活保護者申請に関わる仕事をしていたときの体験から、矯正を受けて仕事ができるようになるのかと思う。
 少年院の中で生活ができても社会に出てこられるのか、という点が非常に気になった。

会員 5
 本書を読んで、まとまりがないと感じた。
 発達障害、自閉症、学習障害がメインで話が進むが、途中でIQ70以下の「正常だけど勉強ができない子」へのアプローチに話が変わってしまう。精神科の専門家なので重々承知のはずなのに…
 また本書は「役に立たなさそう」と思った。ベストセラーと聞いているが、何を目的に買われているのかよく分からない。

会員 6
 前から実用書で読書会を開きたいと考えており、今回本書で開催することができた。
 本書を選んだのは売れている本、図説がおもしろいと感じたからが大きい理由。以前から犯罪者の半分ぐらいはなんらかの障害を持ってる人ではないか、と考えており本書でもその説で展開している。
 自分の周囲にも近所でコミュニケーションがとれない人がいたり、スーパーで急に怒る人がいる。
 元TBSアナウンサーの小島慶子さんが41歳で自分がADHDと診断されたと告白して話題となっているが、自分がそのような立場ならどうかという「気づき」をくれる本だと感じた。

 会員全員の感想、その感想についての質疑応答を終え、次に実用書としての本書の「よくなかった点、書き方としてどうか」と思う部分を雑談形式で15分程粗探しをしました。

●自分が発達障害ではないか?と思っている人が読むと不安をあおるのではないか
 →不安な人が買うのか?
●発達障害をグループ化し過ぎている
 →自閉症『傾向』をどのようにとらえるかが難しい
●グレタ・トゥーンベリさんの話題について
●ワーキングメモリについて、
●最初の話題から内容がずれてくる
●受刑者、少年院収容者が納税することも結構だが、社会に適応するまでのコストも計算されるべき

 次に実用書として良かった点、ベストセラーとしての原因や理由を15分で考えました。
◎発達障害や知的障害を持つ受刑者、少年院収容者がいると分かった
 →罪と認識せずに罪を犯してしまう人たちがいる
◎第7章がなければ良かった
 →発達障害や知的障害が治るような完全な治療法は未だ見つかってな
  いのでみんなで社会がよくなるように考えましょう、で終わっても
  良かったのではないか
◎図説がもう少し多くあっても良かった
◎CAPAS、WAIS、WISCの実例を示されても良かった
◎専門用語の解説が少ない
 →一般の人が読むことを想定していなかった?
◎発達障害や自閉症とIQの高低を同軸で書かない方が良かった
◎タイトルがキャッチー過ぎ
 →キャッチじゃないと本が売れない時代

 最後少し雑談とし、実用書での読書会の可否をうかがったり、最近の精神疾患事情なりを色々と情報交換。
 本日はここで時間となり、読書会お開きとなりました。
 参加された会員の皆様、お疲れさまでした。

 次回38回福井読書感想交換会は、令和2年1月29日(水)19:00から。
 課題図書は、筒井康隆著「時をかける少女」(角川文庫)を取り上げます。ヤングアダルト向けSFの金字塔。色々なクリエイターに影響を与えた大ベストセラーを今一度読んでみたいと思います。
 飛び入りも可能ですので、お気軽にご参加ください。
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