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1/17 第26回福井読書会レポート [読書会]

 「星を読む会」主催、流浪の会合福井読書会の第26回目は平成30年1月17日(水)午後7時から、福井市渕にあるよつばCafeで行われました。

 またまた飛び込みの方も来られ、参加者8名で会が始まりました。
 今回の課題図書は、江戸川乱歩著「D坂の殺人事件」と「押絵と旅する男」の二つを選びました。
 青空文庫で読まれた方が多かったようですが、キンドルで読んだり、印刷して読んだりと読み方も様々でした。
 まずは「押絵と旅する男」から感想を聞いていきたいと思います。

1さん
 江戸川乱歩は初めて読んだ。昭和初期の作品なのに、わかりやすい文章だと感じた。
 二人称で語るように書かれる文章は読みやすかったが、今の時代のトリックに比べると幼稚に感じる。当時ならおもしろかったのか。

2さん
 江戸川乱歩はあんまり読む機会がなかった。
 「押し絵」ってのが良く分からなかったが、羽子板の事と書いてあったので理解できた。
 大正時代って泰平的なところがあった?
 着眼点を競い合う時代だったのか、浅草十二階などの物珍しいものが多かったのかと思う。
 あんまり、おもしろいとは思わなかった。

3さん
 江戸川乱歩といえば小さい頃に「少年探偵シリーズ」を読んでいた。
 読んでいくと、絵の中に入るリアルさがある。怖いぐらいの感情。最後は、すっきり腑に落ちた
 絵の中に入ったお兄さんは、絵の女性に嫌われなかったので幸せだったのではないか。

4さん
 あんまり本を読まないので、どの本を読んでいいのかを知るためにこの会に来ている。
 自分だけ老いていく怖さがあった。酷な話だと感じた。絵の娘は若いままで自分だけ表情が年老いていく。
 お兄さんが死んでしまったらミイラ化する?とか疑問に感じながら読んだ。
 毒気も含んだおとぎ話的なお話と思った。

5さん
 奇妙な話だなぁと思う。
 最近、江戸川乱歩を読み始めて「二銭銅貨」、「人間椅子」を読んだ。
 「世にも奇妙な物語」のような不思議な話だと感じた。
 仮名遣いが分からないところはキンドルが教えてくれるので、楽に読める。

6さん
 江戸川乱歩名作集で読んだ。乱歩は好きで謎解き系よりも怪奇幻想系が好き。何回も読んだ作品。
 おばあちゃんが押し絵を持っていて、これが押し絵かぁと理解した。
 二次元に入りたがる、二次元の女の子が好きないわゆる「おたく」の願望がかなう作品だと感じた。読んだ後は「良かったね」という感想。
資料の少ない浅草十二階の内部が分かる貴重な資料ではないか。
 乱歩には他の作品にも「オタク好き」なものが多いのでオススメしたい。

7さん
 おたくの願望をかなえていると感じた。二次元のかわいい女の子に恋をした話だと思う。「画面の中から出てきてくれたらいいなぁ」という思いが、「画面の中に入ってしまう」に変わった。
 テレビの女の子に恋するのと同じ、テレビから出てきてくれるといいなぁという願望。
 「魍魎の匣」の冒頭はこの作品によく似ている。
 浅草十二階は好きな建築物。
 遠眼鏡は「不思議なもの」という扱いか?反対側から覗くと絵に入れるという発送が乱歩らしい不思議な発想だと思う。

 皆さんの感想のあとに、特に印象に残った箇所などについて話しました。
・蜃気楼は「蛤の吐いた夢」
・想像だけで書いた蜃気楼の描写
・富山には蛤がモチーフの土産がある
・しょせん夢、幻の話だと書きたかったのか?
・「魚津に行ったことはないじゃないか」と友人に突っ込まれる「男」
・現実離れの話なのにリアルな描写がある
・昭和4年当時の読者がどのような気持ちで読んだのか?
・八百屋お七の絵を見て「彼岸」に旅立つ兄
・ぎりぎりの淵に立つ人はちょっと背中を押されると彼岸に行く
・兄弟が同じ姿として書かれている謎
・表情が良くない、皺がたくさんある
・男性だけ年を取る悲哀
・絵の中に入って出てくる手段が分からない悲劇
・乱歩は遠眼鏡が好き?他の作品にもあるかも?
・VRを先取りしている乱歩の世界
・凌雲閣、浅草十二階にあこがれる会員の皆さん
・リセットがかけられるVRと命がけになる昔の冒険譚の比較

 ここで時間になりましたので、次の課題図書「D坂の殺人事件」に移りました。
 みなさんから雑談形式で意見を頂戴しました。
・明智小五郎が金田一耕助みたい
・かっこよくない明智
・縦縞の浴衣を着てる明智
・作中に出てくる谷崎潤一郎「途上」は!細雪と違う!
・推理小説中興の祖谷崎潤一郎
・エドガー・アラン・ポーいいぞ
・ガストン・ルルーいいぞ
・D坂の犯人は突飛すぎる
・押し絵より6年前に書かれた割にSMって!
・大正時代って緩い時代だった?
・乱歩で初めて読んだのがD坂
・小道具が出過ぎて読みづらい
・当時の小道具の使われ方、現代での感覚のヅレ
・D坂は団子坂、近くに住んでた会員がいた!
・古本屋を営んでいた乱歩
・現代ではおしゃれな坂道に当時はマゾッホがいっぱい?
・性癖は匂いで分かる
・明智小五郎はいつからかっこよくなった?
・女性を切らした事がない明智
・モテモテの小五郎は間違いでした。書いてなかったわ
・明智小五郎を追いつめた「男」は乱歩自身?
・マゾッホに軸足を置いて書いた?誰に軸足を置いて?
・大正、昭和初期の雰囲気を味わいたい
・ダブル不倫から現代の不倫報道について
・話題は結婚観や夫婦のあり方へ
・不倫の話や家制度の話へ
・戦前は女性は働き手だった。家制度との女性の地位について。
・江戸時代は結婚離婚が多かった
・満島ひかりのドラマが面白かった
・乱歩物は官能的、淫靡的に描かれることが多いが時代に合わせた
・映画RANPOの話

 大分たくさんの論が出ましたが、時間となりましたので終了となりました。皆さんはどのように読まれたでしょうか。


 次に会員の皆さんに、「春に読みたい、新入学生新社会人にオススメしたい一冊」をオススメしてもらいました。


重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/06/28
  • メディア: 文庫


○井坂光太郎「重力ピエロ」
あらすじ:仙台の街で起こる連続放火事件。放火現場の近くには必ず奇妙なグラフィティアートが描かれていた。過去に辛い記憶を抱える泉水と春の二人の兄弟は、事件に興味を持ち謎解きに乗り出す。グラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎を解き明かしたとき、その先に見えてくるものとは。(Wikipediaより)

 映画が面白くて購入したが、「春が二階から落ちてきた」で始まる。
 途中で、家族って何だろう?って考えさせられるシーンがあり、新入生や大学生が家族のありがたさを感じることができるのではないか。


モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

  • 作者: ミヒャエル・エンデ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/06/16
  • メディア: 新書


○ミヒャエルエンデ「モモ」
あらすじ:イタリア・ローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれてしまい、皆の心から余裕が消えてしまう。しかし貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人に自信をとりもどさせてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで、奪われた時間を取り戻す。(Wikipediaより一部抜粋)
 一番好きな本で四回も読んでいるが、毎回感想が変わる。
 新入生に読んでほしい、時間の大切さを感じることができるのはないか。



春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫)

春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: ペーパーバック


○三島由紀夫「春の雪」
あらすじ:維新の功臣を祖父にもつ侯爵家の若き嫡子松枝清顕と、伯爵家の美貌の令嬢綾倉聡子のついに結ばれることのない恋。矜り高い青年が、〈禁じられた恋〉に生命を賭して求めたものは何であったか?――大正初期の貴族社会を舞台に、破滅へと運命づけられた悲劇的な愛を優雅絢爛たる筆に描く。現世の営為を越えた混沌に誘われて展開する夢と転生の壮麗な物語『豊饒の海』第一巻。(amazon商品説明より)

 春が出てくるから選んだ。難読で、二回目の挑戦中。
 とにかく鬱陶しいカップルが出てくるので、こんな鬱陶しい人にならないで欲しい!という願いを込めてオススメしたい。


蓬莱学園の初恋! (富士見ファンタジア文庫)

蓬莱学園の初恋! (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 新城 十馬
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 1991/09
  • メディア: 文庫


○富士見ファンタジア文庫「蓬莱学園の初恋」
「BOOK」データベースより:蓬莱学園、東京から2500キロ、南洋に浮かぶ宇津帆島。島ひとつがまるごと学校になっていると思ってくれればいい。海と山、港に飛行場、原発に謎の怪獣…。そして10万人の生徒たち。一筋縄じゃいかない連中ばかり、一触即発の青春無法地帯。春4月、新入生の朝比奈純一は、学園遊覧の飛行船から覗いた双眼鏡に映った少女に一目惚れ。「あの娘を見つけるんだ!」不屈の情熱(だけ)を武器に、初恋の君を追う純一が巻き起こす、前代未聞のノンストップ・スラップスティックアクション。
 Boy meets Girlの決定版、ながら今は亡き富士見ファンタジア文庫の作品。いつもこんな冒険と恋をしたいと懐かしくなる。ぜひ、新天地に向かう人には読んでほしい。


人間の絆 上巻 (新潮文庫 モ 5-11)

人間の絆 上巻 (新潮文庫 モ 5-11)

  • 作者: モーム
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/04/24
  • メディア: 文庫



○モーム「人間の絆」
『人間の絆』(にんげんのきずな、Of Human Bondage)は、イギリスの作家ウィリアム・サマセット・モームによって書かれ、1915年に発表された小説。本作は20世紀前半の英文学傑作として広く認められ、日本でも「月と六ペンス」と並び、多数あるモーム作品の中で絶えず重版されている。幼い時分に両親を失い、叔父に育てられた作者自身の自伝的な教養小説である。モームのどもりは、主人公フィリップ・ケアリの足の障害(内反尖足)に置き換えられている。話の舞台は、主人公のドイツ、フランスへの旅行、そして知性と感性を磨く場となったロンドンにおいて展開してゆく。日本語訳(現行版)は、中野好夫訳(新潮文庫 上下)と、行方昭夫訳(岩波文庫 上中下)がある。(Wikipediaより)



 ちょうどここで時間となり、二時間の読書会お開きとなりました。参加された会員の皆様、お疲れさまでした。

 次回福井読書会は、3/28(水)午後7時より開催。
 課題図書は、原田マハ「楽園のカンヴァス」です。新潮社、新潮文庫から出版されてますので、ぜひお読みください。

 また次回から会場が変更となります。
 ご厚意より福井県立美術館内美術館喫茶室「ニホ」を会場として貸していただけるようになりました。

 美術館喫茶室ニホ
(〒910-0017 福井県福井市文京3丁目16−1 0776-43-0310  https://goo.gl/maps/NDejFuZ1M7S2

 ニホ様には読書会の問い合わせなどなさいませんよう、何卒ご了承ください。L1080541.JPG
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