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第18回福井読書会レポート [読書会]

 流浪の会合「星を読む会」主催、第18回読書会は、平成28年9月28日(水)午後7時から、福井市渕にある「よつばCafe」で行われました。
 新しい場所で行われる読書会。また、新たに加わった方も来られ、少し緊張の面もちで会が始まりました。  
 今回の課題図書は、松本清張著「家紋」。まずは皆さんの意見に耳を傾けてみます。

1さん
 前回の課題図書「高野聖」は高尚な文章でちょっと読みづらかった。「家紋」はまとまっていて、情景描写がうまく読みやすかった。
 犯人を暴くところが好きなミステリー好きだが、この作品は犯人、トリックを暴く点には程良く力が抜けていて、心理描写で犯人をあっさり書いているところが良かった。

2さん
 三国の本当にあった事件を基にした松本清張に、「うれしさ」を感じてしまう。ただ、題材にしてるだけで、自分が聞いている本当の事件と小説は違う点が多い。
 夜中に誰かが訪ねてくるだけで怖いのに、明かりの少ない当時はもっと怖かった はずだが、顔が分からない状態だけでも提灯の家紋だけで信じてしまうのもそういう時代なんだと感じた。
 最後はロマンティック?「羊たちの沈黙」を思い出した。
 色恋沙汰だとしたら、殺された人々は「なぜ殺されなければいけなかったのか?」という疑問がある。

3さん
 映像を先に見て「しまった」と感じた。原作の描写が映像優先になってしまった。
 田舎特有の人間関係のしがらみを感じる。この時代に生きてなくて 良かったと感じた。
 浄土真宗の衣装や慣習に興味が沸いた。
 想像する余地があるのが、読書の良いところだと思う。
 女性目線から読むと、やはり女性の地位が低く感じられた。

4さん
 課題図書が決まってすぐ本を購入した。楽しく読ませてもらった。
 不可思議な事件。恋愛がもととなっての事件だが、登場人物に「恋愛」との縁が遠く感じるが、こういったことも起きるんだろうなぁ、と余韻を残すストーリーだっ た。
 なぜこの事件が迷宮入りしてしまったのか?
 実際に共同体が加害者をわかりにくくしてしまう事件として、名張ぶどう酒事件(1961年)を思い出した。

5さん
 実際の事件を知らずに読んだが、文章が流れるようでわかりやすかった。
 文章中「あれっ?」と思うスムーズな文章の流れを断ち切るようなひっかかりは、著者から読者へのヒントになっている箇所があった。
 動機が希薄?
 雪代が犯人を想起する場面が 、読んでいて好きな文章。

 皆さんの感想のあとに、特に印象に残った箇所などについて話しました。
・テレビドラマ版との違い
・自分のものにならなかったから殺したのか?
・自分の地位を守るために
・最初と最後の文章
・雪代は誰の子であるのか?
・事件の裏にある大いなる力
・現代の事件と当時の事件の解釈の違い

 一通り出終わった感のあるところで、「まだ話してないことが!!」と提示されたのが、「なぜ雪代まで連れて行こうとしたか?」などの残された闇。
 各自もう一度読んでみましょう、とお茶を濁し課題図書は終了となりました。
 全体的に読みやすかった感がある今回の課題本。松本清張の短編ではなく長編も読んでみたい所です。

 次に 会員のみなさんがおすすめする本を紹介する時間になりました。

・百田尚樹著「風の中のマリア」
 専門学校の先生からオススメされた本。オオスズメバチの話。弱肉強食の世界を淡々と書いているように感じている。

・一条ゆかり著「有閑倶楽部」

・夢枕獏著「陰陽師 玉兎ノ巻」

・ヘンリー・スコット・ホランド著「さよならのあとで」
 詩集。一頁に一文とすてきなデザインが掲載されている。 亡くなった方からこの世に 残された大事な人へ送る一遍の詩。

 ちょうどここで時間となり、二時間の読書会お開きとなりました。参加された会員の皆様、お疲れさまでした。


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