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第六回福井読書会。(H26/6/18) [感想文]

6月18日 午後7時より。


本日はわれらが安木氏が欠席するという、チームの大黒柱を欠いての開催でした。

進行役は私野坂が勤めさせていただきました。
まず1時間はルーティンである課題図書へのプレゼンです。
今回の課題図書は野坂が設定しました。
内田康夫「本因坊殺人事件」。

まずはクロダさんから。
第一印象としては、昼間に見るサスペンスドラマの王道を行くスタイルであるというこ
と。
風景描写が上手いので、すんなりと場面を思い浮かべることができる。
つまりは文章力が優れていること。
そして、物語の進み方に無駄がまったくないことを指摘していました。

次にカワイさん。
最後は崖に行くことが興味を引いたこと。
犯人に思い入れを抱いてしまうという、珍しいタイプの推理小説ではないかとのこと。
そして、いつも読んでいる推理小説とは違ったタイプであるとコメントしていました。

最後に野坂です。
数多くある推理小説から囲碁を題材にした珍しい小説であることが推薦の理由であること。
囲碁を題材にしつつも、マニアックになりすぎず、囲碁を知らない人でもわかるように薄めて、しかしトリックを用いることで万人に面白く感じてもらえるように工夫してあることをコメントしました。

三人の意見が出たところで、ミックスダウンとなるのですが、そのなかで出てきたキーワードは「時代性」です。

この小説がすんなり読める、文章の整った作品であるのに読みづらい印象を覚えるのは、
セリフの言い回しにあるのではないかという指摘がありました。
この時代の小説は、どこか文章がかっこをつけていて、親しみにくい印象を覚えます。
これよりも前の時代の小説は、レトロを感じさせ、回顧主義的にかっこよく感じます。
逆に新しい時代の小説は馴染み深く、親近感を覚えるのです。

ちょうどその端境期にあるこの昭和60年代、つまりバブル期の小説というのは、私たちにとってなじみの薄い時代ではないのでしょうか。

クロダさんの指摘には「実行犯の動機がよくわからなかった」というものがありました。
これも、時代を考えると正解が見えてくるような気がします。
常に上昇志向のバブル期に、田舎から都会に出た運転手という職業の者が、失業を恐れるその気持ち。
あるいはしがないタクシードライバーだった自分を拾ってくれた人に対しての報いたいという思い。
そういうものを、泥臭いながらもきらきらした世界がすぐ自分の隣に存在したあのバ
ブル期というものを想像すると、納得させられてしまうような気がしました。

次は、紹介コーナーです。

カワイさんのお勧めは、いとうせいこうのデビュー作「ノーライフキング」でした。
小学生である主人公がヴァーチャルの世界にリアルが飲み込まれていくところを、逆にリアルの困難さ、生きにくさをヴァーチャル世界から学んでいくところが味噌だとおっしゃっていました。

野坂のお勧めは、浅田次郎の最新作「一刀斎夢録」です。
カワイさんのような含蓄を含んだ作品ではありませんが、とにかく読後の爽快感があります。
新撰組がすきな人、もしくは時代小説が好きな人にはとかくお勧めできる作品です。
クロダさんに貸し出しました。

クロダさんのお勧めは金城一紀の「映画篇」です。
青臭い感じが好きとのことでした。内容については、映画がたくさん出てくるものの、それぞれの映画の内容を掘り下げるわけではなく、とにかく人間関係の描写が楽しめるとのことです。

以上で第6回の読書会は終了となりました。
やはり安木氏がいないと、締まりに欠ける結果となりましたが、自由奔放に意見を交わすことができ、参加者それぞれの新しい一面を垣間見れて、勉強になりました。
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